ALS、アルツハイマー病の早期診断に向けた新たな技術開発
~病因タンパク質TDP-43、アミロイドβを超高感度で検出可能に~
岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の本田諒准教授、大学院医学系研究科の下畑享良教授、岐阜薬科大学の位田雅俊教授らのグループは、神経変性疾患の発症に関わるTDP-43およびアミロイドβ凝集体の超高感度検出技術を開発しました。この技術は、新たに発見された「Brij-58」という特異な性質をもつ界面活性剤を使用することによって、従来のシード増幅アッセイ法(SAA法)の検出感度を飛躍的に向上させたものです。この技術により、最小5フェムトグラムという超微量の凝集体の検出が実現し、実際の患者の脳組織に蓄積した病的凝集体を検出することも可能となりました。
本技術は、将来的にはALSなどの神経変性疾患の早期診断や早期治療介入に貢献することが期待されます。
本成果は、日本時間2024年10月8日にTranslational Neurodegeneration誌のオンライン版で発表されました。
概略図 SAA法は患者の脳組織、脳脊髄液、血液などに含まれる超微量の病的凝集体を試験管内で「増やす」ことによって、これらを超高感度で検出する技術である。本研究では、従来技術を大幅に改良することで、TDP-43およびアミロイドβ凝集体の超高感度検出を実現した。
【研究成果のポイント】
• TDP-43およびアミロイドβ凝集体の超高感度検出法を開発
• 界面活性剤Brij-58の特異な性質を活用し、従来のSAA法を大幅に改良
• 従来の検出限界をはるかに上回る、最小5フェムトグラムからの検出を実現
• ALS、アルツハイマー病の早期診断や早期治療介入に貢献する可能性
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本研究は、せりか基金-宇宙兄弟ALSプロジェクト-、公益信託宮田幸比古記念ALS研究助成基金、科研費(JP23K06935、JP22K07359、JP22K06744)の支援を受けて行われました。オープンアクセス化に関して、オープンアクセス加速化事業(文部科学省補助金)(東海国立大学機構 岐阜大学)の支援を受けました。
書誌情報
雑誌名 | Translational Neurodegeneration |
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論文タイトル |
Ultrasensitive detection of TDP-43 and amyloid-β protein aggregates using micelle-assisted seed amplification assay |
著者 |
Sora Sakamoto, Yuichi Riku, Teiko Komori Nomura, Akio Kimura, Naoki Yamahara, Kazuki Ohuchi, Mari Yoshida, Yasushi Iwasaki, Takayoshi Shimohata, Masatoshi Inden, and Ryo Honda |
DOI | 10.1186/s40035-024-00444-7 |