骨折治癒を担う細胞の代謝変化を超偏極MRIで可視化!
-骨折治癒の早期評価や骨疾患の診断・治療への応用に期待-
岐阜薬科大学 薬理学研究室の久保拓也大学院生(JST SPRINGスカラシップ研究学生,米国ラトガース大学客員研究員),岐阜薬科大学 薬理学研究室・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科・岐阜大学高等研究院One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター(COMIT)の檜井栄一教授らの研究グループは,東京大学,大阪大学,国立障害者リハビリテーションセンター研究所,岐阜大学との共同研究により,超偏極MRIを用いて,骨折治癒を担う骨格幹前駆細胞のレドックス状態の変化を,生きたマウスの体内で可視化することに成功しました。
骨折は日常生活や運動機能に大きな影響を及ぼすだけでなく,要介護・寝たきりのリスクを高め,高齢者では骨折後の死亡率の増加にもつながります。骨折すると,骨折部位ではさまざまな細胞が働き始め,なかでも骨格幹前駆細胞が骨折修復に重要な役割を担います。X線やCTは骨の構造変化を捉えることができますが,骨折治癒の早期段階では構造的な変化から治癒の進行を評価することが難しい場合があります。そのため,骨折後の早期段階から治癒の進行を評価できる新たな骨イメージング手法の開発が求められてきました。
本研究では,レドックス状態を画像化できる超偏極MRI(in vivo DNP-MRI)と活性酸素(ROS)と反応する造影プローブを組み合わせることで,骨折後の早期から中期にかけて,骨折部位のレドックス活性が高まり,その後,骨の再構築に伴って低下することを明らかにしました。さらに,骨折部位で働く骨格幹前駆細胞でもレドックス活性が高まっていることを確認しました。本研究成果は,骨折治癒の進行を早期に評価する新たな診断法として活用できるだけでなく,骨折治癒における細胞の代謝変化やレドックス動態の理解を通じて,骨折治癒を促進する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は,英国学術雑誌『npj Imaging』に掲載されました(オンライン版公開日:日本時間2026年8月15日)。
図 仮骨のレドックス動態は骨格幹前駆細胞の代謝活性を反映し,骨再生の機能的評価につながる
【研究成果のポイント】
・ 骨折部位のレドックス動態の変化を,in vivo DNP-MRIによって生体内で可視化することに成功しました。
・ 骨折部位のレドックス活性は,骨折後の早期から中期にかけて高まり,その後,骨の再構築が進むにつれて低下することを明らかにしました。
・ 骨折部位の骨格幹前駆細胞では,健康な骨由来の細胞と比較して,レドックス活性が高く,ミトコンドリア由来のROSが増加していることを明らかにしました。
・ 本成果は,骨折治癒の早期評価や骨再生研究,骨疾患の診断・治療への応用が期待されます。
詳しい研究成果(和文)はこちら
書誌情報
| 雑誌名 |
npj Imaging |
|---|---|
| 論文タイトル |
Evaluation of redox dynamics in callus-forming skeletal progenitor cells during fracture healing using in vivo DNP-MRI |
| 著者 |
Takuya Kubo, Shohei Tsuji, Yoshiaki Kitaura, Hironori Hojo, Shinsuke Ohba, Takuya Katashima, Hiroki Ochi, Masayuki Matsuo, Fuminori Hyodo, Eiichi Hinoi |
| DOI | 10.1038/s44303-026-00190-7 |
